LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「やってもらうことってできますか?」

「いいですよ」

 快く了承してくれる。

「金と銀、どちらにされますか?」

「銀でお願いします」

 最初についていた金具の色が銀だったから。

 店員は石の厚みに応じたバチカンを選んでくれた。

 藍が金具代と作業代を払うと、店員はささっと作業を終わらせる。

 無事にアクアマリンがペンダントトップとして復活した。

「え、これだけ?」

 藍は驚いた。10年以上も壊れたことを気にしていたのに、あっという間に終わってしまった。

「意外に簡単なんですよ」

 にこにこしながら店員はアクアマリンを紙袋に入れて渡してくれた。

 しかしそれならどうして店長は直してくれなかったんだろう。

「ご興味がおありなら、ご自分でも作られてみては?」

 自分で作る。

 新しい世界が開けそうで、ときめいた。だけど、本当にできるのだろうか。買ってみて無駄になってしまったらどうしよう。

「このセットとか、簡単ですよ」

 ちいさなローズクォーツの丸玉が入ったピアスを作るセットだった。お試し価格で500円。

「趣味でやるんでしたらペンチとかの道具類は100均で売ってるもので充分ですし、お手軽ですよ」

「あ、あの、それならお願いが……」

 藍は店員におずおずと申し出た。




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