LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
36 ケンカ
* * *
別のある日、藍はしょんぼりしていた。
季節は冬。
日は傾き、寒さが増していた。
風が吹き、コートの隙間から入る冷気が体を震わせる。
公園へとぼとぼ歩いていくと、少年はもう来ていた。
「どうしたの、元気ないね」
会うなり彼は言った。
「ともだちとケンカしちゃったの」
「なんで?」
「ジュエリーデザイナーになりたいって言ったら、ムリって言われたの」
「ひどいね」
「だから、あなたがアイドルなんてなれないって言いかえしたら泣いちゃったの。私わるくないよね?」
うーん、と彼は考える。
「もしその子が言いかえしたら、どうしてたの?」
「たぶん、また言いかえすと思う」
「そしたらまた向こうも言いかえすよね? いつまでつづくの?」
大人みたいなことを言う、と藍は思った。
「だけど、だったらどうしたらいいの?」
うーん、とまた彼は悩む。
「わからない。だって、言われてイヤなこと言われたんだよね」
「うん」
「だったら、言いかえすもんね」
うーん、と彼は考える。
藍も考えてみる。
が、何も良い解決法は思いつかない。
だけど藍は、一緒に考えてくれることがうれしかった。
別のある日、藍はしょんぼりしていた。
季節は冬。
日は傾き、寒さが増していた。
風が吹き、コートの隙間から入る冷気が体を震わせる。
公園へとぼとぼ歩いていくと、少年はもう来ていた。
「どうしたの、元気ないね」
会うなり彼は言った。
「ともだちとケンカしちゃったの」
「なんで?」
「ジュエリーデザイナーになりたいって言ったら、ムリって言われたの」
「ひどいね」
「だから、あなたがアイドルなんてなれないって言いかえしたら泣いちゃったの。私わるくないよね?」
うーん、と彼は考える。
「もしその子が言いかえしたら、どうしてたの?」
「たぶん、また言いかえすと思う」
「そしたらまた向こうも言いかえすよね? いつまでつづくの?」
大人みたいなことを言う、と藍は思った。
「だけど、だったらどうしたらいいの?」
うーん、とまた彼は悩む。
「わからない。だって、言われてイヤなこと言われたんだよね」
「うん」
「だったら、言いかえすもんね」
うーん、と彼は考える。
藍も考えてみる。
が、何も良い解決法は思いつかない。
だけど藍は、一緒に考えてくれることがうれしかった。