LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「これ」

 ラッピングされた小さなプレゼント袋。

「ありがとう」

 受け取ってすぐ、藍は開封した。袋を傾けて片手に中身を出す。しゃらん、とそれが手にのった。

「わあ、ペンダント!」

「ブルースカイストーン。くもり空みたいになってるけど。はなぐもり、みたいな」

 銀の鎖の先に、(しずく)型の石がついていた。つるんとした感触のそれは、確かに薄く雲がかかった空のような色だった。

「くれるの? ありがとう!」

 初めて彼からもらうプレゼントに、藍は心をはずませた。さっそくつけてみる。なんだか大人になったような気分だった。胸騒ぎなど気のせいだったに違いない。

「アク……ブルースカイストーンの石言葉の一つにね、「ゆうかん」があるんだ。ゆうかんってね、ゆうきがあることなんだって。だからきっとゆうきをくれるよ」

「そうなの?」

「だから、君はともだちにあやまって仲良くなれるよ」

 そのために、このペンダントをくれたのだろうか。

「ありがとう」

 藍は明るい顔でお礼を言う。

 彼は相変わらず暗い顔をしていた。

「どうしたの?」

 また、藍はきいてみた。

「急に引っこしがきまったんだ」

 その告白に、藍は息をのむ。

「なんで今日までおしえてくれなかったの?」

「おれも今日言われたんだ。すぐに出発するんだって」

「どこへ行くの?」

「知らない。おしえてもらえなかった」

 悲しそうに、彼は言う。

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