LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
39 落ちないで
その日、めずらしく瑶煌が外出した。
戻ってきたらすぐ工房にひきこもり、閉店後にまた現れたときには瑶煌が作ったマスクストラップを手にもっていた。
「どうかな、茅野さんのアイディアをもらって作ってみた」
藍と瑠璃に見せながら、瑶煌が言う。
紐の両端に彩りよく半貴石をつけた本革の革紐のストラップだった。八の字状になったゴムパーツをつければ眼鏡ストラップにもできるという。
「すごい、素敵です!」
金具の処理がうまくて、まるで既製品だと思った。ジュリーデザイナーなのだから、アクセサリーは専門ではないにしろ、うまくて当然なのだろう。
「忙しいのに何やってるのよ。仕事たまってるんでしょ?」
瑠璃が言う。
「たまには息抜きさせてよ」
瑶煌は苦笑で応じた。その余裕が、藍にはうらやましい。大人の対応、という感じがした。
「ジュエリーを作る息抜きがアクセサリー作りって」
「瑠璃もやってみたら。楽しいよ」
「私はいいわ。売る方が楽しいもの」
「じゃ、これもよろしく。明日から店に置いてみよう」
瑶煌の言葉に、藍は瑶煌を見る。彼は藍ににっこりと微笑みかけた。
「アイディアありがとう」
「い、いいえ」
またジェットコースターだ、と藍は思う。どんどん気持ちが高揚する。自分が認められたようで抑えようもなくうれしい。
できることなら、のぼるだけでもう落ちないで、と願った。
戻ってきたらすぐ工房にひきこもり、閉店後にまた現れたときには瑶煌が作ったマスクストラップを手にもっていた。
「どうかな、茅野さんのアイディアをもらって作ってみた」
藍と瑠璃に見せながら、瑶煌が言う。
紐の両端に彩りよく半貴石をつけた本革の革紐のストラップだった。八の字状になったゴムパーツをつければ眼鏡ストラップにもできるという。
「すごい、素敵です!」
金具の処理がうまくて、まるで既製品だと思った。ジュリーデザイナーなのだから、アクセサリーは専門ではないにしろ、うまくて当然なのだろう。
「忙しいのに何やってるのよ。仕事たまってるんでしょ?」
瑠璃が言う。
「たまには息抜きさせてよ」
瑶煌は苦笑で応じた。その余裕が、藍にはうらやましい。大人の対応、という感じがした。
「ジュエリーを作る息抜きがアクセサリー作りって」
「瑠璃もやってみたら。楽しいよ」
「私はいいわ。売る方が楽しいもの」
「じゃ、これもよろしく。明日から店に置いてみよう」
瑶煌の言葉に、藍は瑶煌を見る。彼は藍ににっこりと微笑みかけた。
「アイディアありがとう」
「い、いいえ」
またジェットコースターだ、と藍は思う。どんどん気持ちが高揚する。自分が認められたようで抑えようもなくうれしい。
できることなら、のぼるだけでもう落ちないで、と願った。