LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
日も暮れかけたころに現れた眼鏡の婦人は、藍を相手に長いこと話し込んだ。初老とは思えない若々しさがあり、マダム然として凛とした女性だった。
おしゃべりだけでいいのかな、と思いはしたものの、他に客はなく瑠璃からの介入もなかったため、藍はその客と話し続ける。
主に話題は宝石のことだった。婦人は楽し気に宝石について語った。藍の知識不足をむしろ好都合とばかりに話す。
「日本でもとれる宝石があるって知ってる?」
婦人の質問に、一瞬困惑する。
「えっと? ……あ、真珠ですね!」
「それだけじゃないわ。珊瑚に翡翠、琥珀、瑪瑙とか、けっこうあるわね」
「確かにそうでした。店員が忘れたらダメですね」
「ふふ。アクアマリンとかサファイアがとれるところもあるのよ!」
「すごい! 知りませんでした」
「さすがに宝石として流通できるほどのクオリティはないんだけどね。夢があるわよね」
また店員なのに客に知識で負けてしまった。だが、婦人の話し方には嫌味がなく、聞いていて楽しい。
おしゃべりだけでいいのかな、と思いはしたものの、他に客はなく瑠璃からの介入もなかったため、藍はその客と話し続ける。
主に話題は宝石のことだった。婦人は楽し気に宝石について語った。藍の知識不足をむしろ好都合とばかりに話す。
「日本でもとれる宝石があるって知ってる?」
婦人の質問に、一瞬困惑する。
「えっと? ……あ、真珠ですね!」
「それだけじゃないわ。珊瑚に翡翠、琥珀、瑪瑙とか、けっこうあるわね」
「確かにそうでした。店員が忘れたらダメですね」
「ふふ。アクアマリンとかサファイアがとれるところもあるのよ!」
「すごい! 知りませんでした」
「さすがに宝石として流通できるほどのクオリティはないんだけどね。夢があるわよね」
また店員なのに客に知識で負けてしまった。だが、婦人の話し方には嫌味がなく、聞いていて楽しい。