LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「――っ!」

 悲鳴は声にならなかった。

 立ち上がろうとしたところを、また倒され、仰向けにされる。軽く頭を打って藍はうめく。

「あんたのせいで!」

 女は馬乗りになって、平手で藍の頬を殴った。

 痛みが走る。

 藍はもがくが、逃げられない。

 もう一度女が手を振りかざしたとき。

「何やってるんだ!」

 瑶煌の声がした。

 ハッとしたように女性がそちらを見て、それから逃げ出した。

「大丈夫か」

 声をかけられ、よろよろと立ち上がる。

「はい」

「頬が赤い。殴られたんじゃないか」

「大丈夫です」

「大丈夫じゃないだろ」

 瑶煌が藍を抱きしめる。

 藍はまたパニックになった。

 何が起きている!?

 呆然と、何もできずにいた。

「何してるのよ!」

 悲鳴にも似た瑠璃の声が飛ぶ。

 瑶煌が慌てて体を離した。

「す、すまない、気が動転して」

「はい」

 もういっそのこと、失神してしまいたかった。だが、そんな都合よく気絶したりしない。頑丈な自分がうらめしい。

「ちょうど出て来てよかった。――良くないな、もっと早く気付いていれば。警察を呼ぼう」

 スマホを出す瑶煌を、藍は止めた。

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