LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「これも瑶煌がデザインした指輪よ」

 左手の薬指に、銀色――いや、プラチナだろうか。ダイヤのはまった指輪がはまっていた。

 藍はそれを見たことがあった。瑶煌が貸してくれた本に載っていた。

「店長がメイユールスーベニールに在籍していたときにデザインした指輪ですね。商品を買っただけでしょう。それがなにか?」

 瑠璃は怒りをたぎらせた。

「瑶煌のこと何もしらないくせに! 私は知ってるわ! あなたが知らないことをいっぱい!」

 瑠璃の口調が粗くなった。が、ふと笑いを()らし、ペンダントの鎖を指にひっかけてくるくると回した。

「こんなおもちゃで喜んでいるような人じゃ、瑶煌の価値はわからないわね。マスクストラップなんて作って気を引こうとしたりして、必死ね」

「思い出がつまった大切なペンダントです。返してください」

 くるくると回す姿が不快で、思い出を汚されたようで、非難するように藍は言った。

「思い出、ね。私は瑶煌との思い出がたくさんあるわ」

「わかりましたから。早く返してください」

 藍が手を伸ばすと、瑠璃は自分の腕をひいてそれをかわした。

「何よ、私が意地悪してるみたいじゃない」

 瑠璃がアクアマリンを回した勢いをつかって手でつかむ。わざわざいったん手を開いてアクアマリンを見せつける。鎖を指でひっかけて手を開いたので、しゃらん、とアクアマリンが垂れた。

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