LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「いっそ、本当に意地悪しようかしら。これだけ不純物が多いアクアマリンなら簡単に割れそうね」

「やめて! 返して!」

 20年一緒にいたアクアマリン。肌身離さず持っていたのに、考えるのを手放したせいで。

 失敗した。油断した。今までは物理的な攻撃をしてこなかったから。

「ふふ、そんなに大事なんだ」

 余裕の笑みを見せる瑠璃を藍は(にら)み付ける。これだけは譲れない。

「瑶煌とどちらが大事かしら」

「……あなたには比べられる程度の大切さしかないんですね」

「はあ!?」

 完全に藍をなめていた瑠璃は、その反抗にさらに怒りを募らせる。

「あなたに何がわかるのよ!」

「いいから返してください!」

 再び手を伸ばすと、瑠璃はまた身をひらりとかわす。

 負けじとそのまま一歩を踏み出し、腕をつかまえた。

「離して!」

「返して!」

 そのままもみあいになる。もがく瑠璃と、捕まえようとする藍。

 あと少し、あと少しで届く。片腕を腕を掴んだままもう片方の手でアクアマリンを取り返そうとした、そのとき。

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