LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「来たよー! 大変だったんだって?」

 場違いに明るい声が響いて、直哉が入ってきた。

「……って、あれ?」

 いつもと違う雰囲気に、直哉が立ち止まる。

「そこまでやばかったの? ――別件?」

「……わからない」

 瑶煌が答えた。

 瑠璃はきまずそうにそっぽを向いている。

「……大丈夫です」

 藍は震える手で割れたかけらをそっと拾い、ハンカチを取り出して包む。座り込んだまま、藍はアクアマリンを抱きしめた。

 やがてゆっくり立ち上がり、瑶煌と直哉を見て微笑(ほほえ)んだ。

「先に帰らせていただきます。お疲れさまでした」

 今にも泣いてしまいそうな、それでいて人を拒絶する、崩壊寸前の笑顔だった。

「あ――茅野(かやの)さん、病院へ」

 瑶煌が言う。

「……ちゃんと行きます」

「俺も付き添う」

「……一人にしていただけませんか」

 藍が暗い顔で答える。

 瑶煌は苦い顔で、駅前に病院があるから行くように、とだけ告げた。





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