LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「ごまかそうとしても無理だよ。最初から嫌いなのを隠そうともしてなかったじゃん。俺は店にも出てるから見てたよ」

 直哉が言いつのる。

「夕方の騒動のとき、すぐに俺を呼ばなかったのはなぜ?」

 瑶煌が言う。

「びっくりして、固まってたの。本当よ!」

 瑠璃の声に悲痛さが混じる。

「瑠璃に来てもらったのが間違いだったのかもな」

 直哉が言う。驚いて二人は直哉を見た。

「言い過ぎだ」

「だってそうじゃん」

「三人の店なのに……」

 瑠璃がすがるように言う。

「瑶煌の店だ」

 書類上、代表は瑶煌。直哉と瑠璃は従業員だ。

「そんな……」

 直哉にまで、三人であることを否定されてしまった。

「あのとき瑠璃は孤立していた。新しいところで伸び伸びとやったほうが輝けると思った。だから瑶煌に推薦した。だけど結局、瑠璃は他人を拒否するばっかりだ。自分のこと認めてってアピールするくせに。いろんな人がいるってことを認めない。自分の基準に当てはまる人しか認めない。だったら前の会社にいたほうが、いろんな人にもまれて磨かれて丸くなれたんじゃないのか」

「もう今日は帰った方が良い」

 瑶煌が促すと、瑠璃は青ざめた顔で荷物をとり、よろめくように店をあとにした。

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