LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 ショーケースはいくつもあるのに、バラを飾るのは一つだけ?

 そもそもこの場所であってる?

 瑠璃に聞きに行こうとしたときだった。

「何やってるの」

 あきれたような瑠璃の声がした。

「これは真珠コーナーよ。そんなことも知らないの」

「すみません」

「本当に素人なのね」

 すみません、とまた頭を下げたとき。

「瑠璃」

 急に男性の声が割り込んで、藍の心臓が跳ね上がった。

「きちんと教えてやって」

 瑶煌がコップを移動させる。真珠のショーケースの手前側、客が商品を見るときに邪魔にならない位置に。

 瑠璃は返事をしない。かまわず瑶煌が続けた。



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