LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 朝礼が終わったあと。目の下にクマをつくり、()れぼったい目をした藍が、挨拶をしてきた。

「中清水さん、おはようございますぅ」

 彼女は先ほどと違い、笑顔だ。笑顔、なのだが。

「ど、どうしたの」

 目を白黒させながら、純麗はきく。が、それには答えず、小さな紙袋を差し出して藍は言った。

「これ、プレゼントのマスクストラップですぅ。へたくそですけどぉ、作ったので貰ってくださいぃ」

 へたくそってか、やけくそになってない?

 いつにない口調の藍に、純麗はたじろぐ。

「ありがとう、もらうわね」

「純麗さんの名前にちなんでアメジストを使いましたぁ。紫つながりでぇ。あ、でも菫の花って紫だけじゃないんでしたっけぇ」

 へらへらと笑っている。こんな笑い方をする人ではなかった。まるで壊れた人形だ。

 直哉はむっつり黙り込み、瑠璃は塩をかけられた花のように萎れている。瑶煌はそんな様子にためらいながら工房に入って行った。

 今日一日、やっていけるのかしら。

 純麗は不安でいっぱいになった。




 
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