LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「ただいまー」

 従業員用の入り口から直哉が入って来る。

「――今度は何」

 もめている様子の二人に、不機嫌そうに言う直哉。

「この人はお客様のカメオを盗んだの!」

「違います」

 信じてもらえない。きっと。

 仲の良い三人と私では、まるで違う。

 どうせ辞めるつもりだったのだ。泥棒の濡れ衣をきたところで。

「ちょっと待ってくれる? 瑶煌は?」

「接客中。リフォーム受付で」

 と瑠璃が答えたとき、ちょうど瑶煌が戻って来た。

 すぐに瑠璃が瑶煌に報告する。瑶煌は驚いて藍を見る。瑶煌の視線が藍に突き刺さる。

「私はやってません。でも信じてくれなくていいです。辞めます」

 藍の言葉に、さらに瑶煌は驚く。

「逃げる気!? 窃盗よ、警察を呼ぶべきよ!」

「落ち着いて」

 瑶煌は渋い顔をして瑠璃を見る。

「お客様はどうしたの」

 直哉が聞く。

「終わって、先ほど帰られた」

 見送り、ドアのカギを閉めて、水を飲みに行こうとしたときにこの騒動に出くわしたのだ。

< 186 / 262 >

この作品をシェア

pagetop