LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「茅野さんは金庫に入れたんだよな?」

 瑶煌がたずねる。藍は頷いた。

「はい。番号を知らないので、桜内さんと一緒に入れました」

「ちょっと待ってよ。藍ちゃんがやってない、俺は外にいる、純麗さんと瑶煌がそんなことをするメリットがない、となると瑠璃が犯人ってことになるけど」

 めんどくさそうに直哉が言う。

「なっ、なんで私がそんなこと。私にもメリットはないわ! そもそもロッカーには鍵がかかってるじゃない」

 瑠璃は憤然と言い返す。

「あるじゃん。藍ちゃんを辞めさせたいんでしょ。瑠璃ならロッカーのマスターキーを使えるし。目的達成じゃん。警察呼ばれたら困るのは瑠璃でしょ。このまま終わらせたら」

 投げやりな口調はこれまでの直哉とはまったく違っていた。

「瑠璃、やってないんだな」

「もちろんよ」

 瑠璃は瑶煌の目を見ずに答える。

「茅野さんも、やってないよね?」

 藍は瑶煌の目を見て頷いた。

「瑠璃さあ、やりすぎだよ。いくら嫌いだからって、そこまでやる? ていうか、藍ちゃんはなにも瑠璃に攻撃してないよね? ひどくない?」

「私だって何もしてないわ」

「逆にその「何もしてない」すら問題だよね。やるべきことをやってないんだもん。仕事を教えなかったって? 純麗さんから聞いたよ俺が見てる範囲でも、君が藍ちゃんに指導してる姿は見たことない」

「それは、茅野さんが……私を避けるから」

 悪いのはあくまでも藍だ、という態度に藍は眩暈(めまい)がしそうだった。彼女を置き去りにしたまま、直哉と瑠璃はぎゃんぎゃんとやりあう。

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