LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「藍ちゃんもさ、黙ってやられてばっかりで逃げてばっかり。どうなのそれ。被害者って認める勇気がないの? いじめられてるって、(みじ)めな気持ちになるもんね。認めなきゃ惨めな気持ちにもならずに済むって感じ?」

 流れ弾をくらって、藍はうんざりする。なんでもいいからもう解放してほしい。

「もうやめろ、直哉」

 瑶煌が止める。だが直哉は止まらない。

「大人だから、大人の対応しなきゃってか。何も言わないことが大人なんじゃない。言うべきことを言うのが大人ってもんだろ。もめるのが怖くて自分の意見を言う勇気がない。だけどそういう意味では瑶煌とお似合いかもね。この状況で信じる、って無理がありすぎる」

「いい加減にしろ。今日はどうしたんだ」

 瑶煌が再び毒舌を止める。直哉はニヤリと笑った。

「やっと仮面をはぐことができたって感じかな。瑶煌も仮面はずしたら。ってそんな勇気ないか」

 嘲笑(あざわら)う直哉。瑶煌はまた渋い顔を見せた。

「直哉が不満を持っているのはわかった。だが、ちょっと待ってくれ。今はカメオのことだ。俺は――」



< 189 / 262 >

この作品をシェア

pagetop