LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「今日、ご両親がいらっしゃるよ」

「えっ」

「俺が連絡した。こんなことになったから」

「お手数をおかけして申し訳ありません」

「いや、謝るのは俺の方だ。申し訳ない」

 面会ってこんな時間からできたっけ? というか今は何時だろう。

「店長、ケガが……」

 瑶煌の手や顔にガーゼが張られている。すこし血も(にじ)んでいる。

 すぐに気が付かないなんてと思うが、やっぱり頭の奥がしびれたように重い。

「ああ、ごく軽いものだよ。気にしないで」

 瑶煌は昨日強盗ともみ合ったときに殴られ、打撲を負っていた。ガラスの破片であちこちにも切り傷がある。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫。心配しないで」

 瑶煌の手が優しく藍の頭を撫でる。

 温かい、と藍は思った。

 ああ、良かった。温かい。

 なんだかとても心が落ち付いた。
 
 窓にはカーテンが引かれ、空は見えなかった。が、晴れているのはわかる。薄いカーテン越しに日が差し込み、隙間から()れる光は(まぶ)しいくらいだった。

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