LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

56 瑶煌の父

 扉がノックされて、幸せな時間は終わりを告げた。

 開けっ放しの入り口に、男性が立っていた。

「親父……」

 振り向いた瑶煌は呆然とした。

「失礼、茅野藍さんの病室はここで合っているね?」

「何しに来た」

「謝罪だよ。桜内さんから秘書に連絡が入ってね」

 言って、男性が入って来た。暗い色のスーツを身に着けている。ネクタイも地味な色だった。

 ピンとした背筋と堂々とした振る舞いに、藍は気後れを感じた。

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