ＬＥ ＣＩＥＬ ＢＲＩＬＬＡＮＴ 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

「帰ろうとしていたら店のほうから大きな音がして、店長たちが見に行きました。そのまま帰ろうかと思ったんですけど、やっぱり気になって私も見に行きました。そしたら店内に強盗がいて……」

　細かい状況など、聞かれるたびに答えていった。記憶がおぼろなところもあるので、それは正直に言った。

「怖い思いをしたね」

　刑事が慰めてくれた。

　言われて、藍は自分でも思いがけず号泣した。

　ずっと張りつめていたものが切れたようだった。　

「ではまた、気が付いたことがあったらご連絡ください。この部屋で休んでいってもらってかまいません」

　そう言って、刑事は話を締めて、出て行った。

「大丈夫？　怖かったのよね」

　母はそう言って藍が泣き止むまで背中を撫でてくれた。