LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「ポストにこれが入っていた」

 瑶煌が見せたのは、シルバーのバングルと、ごめん、とだけ書かれたメッセージ。

「これ、直哉の……」

 瑠璃の言葉が途切れた。左手で自分の口を押さえる。その手は少し震えていた。

「少し外を見て回ったが、直哉には会えなかった。また外を見て回ろうと思う。藍は店にいて待っていて。直哉が戻ったらすぐ連絡して。あいつ、まだ鍵を持ってるから」

「でも、それだと……」

「俺と瑠璃は直哉と付き合いが長い。行きそうな心当たりを探せる。だけど藍はわからないだろう?」

「確かに、そうですけど……」

「警察にも連絡してある。一緒に探してくれるそうだ」

 警察、という単語にどきっとした。

 全部俺のせいだ、という直哉。

 直哉が犯人の一人なのだろうか。

「明日が引っ越しだとご両親から聞いているが、しばらく大丈夫か?」

「はい」

 幸いあらかたの準備は終わっている。

「瑠璃、行こう」

 瑶煌に促され、瑠璃は歩き出す。

 一人残された藍は、不安で押しつぶされそうだった。



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