LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 直哉は扉に背を向けているので気付かない。

 瑶煌が顔を(のぞ)かせる。

 瑶煌は自身の唇に人差し指を当てて藍に合図する。

「一緒にみんなで楽しい記憶を作っていきましょう」

 藍が言う。

 瑶煌は静かに歩いて直哉に近付く。

「瑶煌を好きな君と?」

「宝石を好きなみんなと。仕事は好きだったんですよね?」

「そうだ。やりがいがあった。俺が仕入れたジュエリーが売れたら、それはうれしくて――」

 瑶煌が直哉の手を掴んだ。

 ふいをつかれて、直哉は包丁を取り落とす。

 藍はその包丁にとびついた。

 掴むと同時に遠くへ放り投げる。

「――瑶煌」

 突然現れた彼に、直哉は呆然とした。




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