LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 一瞬、なにが起きたのかわからなかった。

 が、すぐに状態を理解し、硬直する。

 瑶煌(たまき)のたくましい腕が藍の胸のすぐ下にある。背中が瑶煌と密着している。すぐそばに、瑶煌の顔がある。

 いつの間に来たのかわからない。

 顔が熱くなった。鼓動が早くなる。

「あ、あの……」

 声が裏返りそうになる。

「瑶煌!」

 瑠璃のとがめる声。

「すまない」

 瑶煌は慌てて離れた。

「その、ケガしたらまずいと思って」

「はい……」

 藍は返事をするのが精いっぱいで、顔を上げられなかった。

「すぐ片付ける。待ってて」

「はい、あの、私、お手洗いへ」

 赤い顔を見られたくなくて、藍は逃げた。
< 24 / 262 >

この作品をシェア

pagetop