LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「私はあなたが死んだらきっとそれを無責任だと思います。忘れられたくないと言われたとしてもさっさと忘れることにします。それが私の復讐です」

 何を言っているんだろう、と藍は自分でも思う。

「だから生きて。私に復讐させないで」

「藍ちゃん、君って……」

 直哉はがっくりとうなだれた。

「どこまでいい人ぶるんだよ」

 そう答える直哉の口には、先ほどまでの勢いはなかった。いい人ぶる、と本気で思っているわけじゃないことも伝わった。

 もう彼からは死ぬ気力が失われている。

 そう悟って、藍は大きく息をついた。

 急に手が痛くなってきた。

 じんじんと、脈打つように痛い。

 生きているから痛いんだ。

 昔、誰かがテレビで言っていたような気がする。

「心の痛みと一緒に生きる勇気をもってください」

 藍は直哉の手を取り、目を見つめてそう言った。

 直哉は藍の目を見てうなずいた。

 直哉の目に涙が(にじ)んでいた。




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