LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「言うじゃない。――いつもそれぐらい言えばよかったのに」

「これからはそうします」

 瑠璃はフフッと笑った。

「瑠璃」

 瑶煌がいつもの微笑で話し掛ける。

「何?」

「瑠璃はちゃんと言ってくれると信じていた」

 瑠璃は目を見張った。

「信じるって――そういうこと……」

 目を閉じ、天を仰ぐ。両手で顔を覆う。

「私、もう二度と宝石店では働かないことにする」

 今度は藍が驚く番だった。隣で瑶煌が息を飲んだのがわかった。

「そんな。瑠璃さんは誰よりもがんばってきたじゃないですか」

「あなたバカじゃないの。私はやってはいけないことをやったのよ」

「すみません」

「なんでそこで謝るのよ。これからは言い返すんじゃなかったの」

「えっ、あの、すみません」

「私、あなたのそういうところ大嫌い」

「すみません」

 条件反射のように藍が謝る。

 瑠璃は笑ってしまった。笑っているのに、涙がこぼれた。

 でも瑶煌はそんなあなたが好きなのよね。本当にバカじゃないの、私――と心の中で瑠璃はつぶやいた。







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