LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 店のある最寄り駅でおりて、店に行って、それから新幹線の駅へ。その前に売店で栄養ドリンクを買おう。

 けっこうギリギリかも、と藍は焦る。

 ちょうど駅に電車がついたところのようだった。

 たくさんの人が駅から吐き出されてくる。

 その人達の間を縫うように歩きながら、藍はなんとなく人々の顔を見ていた。

 もしかして、あの人が来てないかな。

 そんなわけないのに。

 きちんと別れを告げることができなかった。

 あのときのように。

 あのときとは違うのに。

 自然と、うつむいてしまう。

 いけない、と思って顔を上げた、そのとき。

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