LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 シャッターの前には再オープンの祝いとして贈られた花輪が三つ。

 商店街からと、MEILLEURS SOUVENIRS(メイユール スーベニール)からと、有志一同、と書かれたもの。

 この「有志」って、あの二人じゃないのかしら。

 そうは思うが、聞くのも野暮な気がして聞けないでいる。

 まああいいわ、と純麗は従業員用のドアを開けて、大きな声であいさつしながら入る。

「おはよーございまーす」

「おはようございます」

 藍が返す。紺色のスーツに、一つにまとめた髪。横の髪がくるくると巻かれていて、いまどきの若者らしい感じがした。控えめな水色のピアスが彼女の堅実さや誠実さを表しているようにも見えた。

「今日もかわいらしいわね」

「いえ、その……ありがとうございます。照れます」

 いちいち恥ずかしがる藍に、自然と笑みがこぼれる。

「来るたびに思うのよ、ここが再開することになって良かったって」

 再オープンの準備には彼女も駆り出されていた。

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