LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 地元の大学に通うように言う両親の反対を押し切って地方の大学へ進学した。そこで就職活動に失敗、派遣社員として生活してきた。

 連絡はとっている。母親はしょっちゅう心配を口にするが、父親はなにも言わない。きっと今でも怒っているのだ。この状況で帰るとは言いづらい。

 できれば正社員で。とは思うが、自分が希望する条件のものはなかなか出会えない。

 自宅から通える範囲で、事務で——。

 藍はため息をついて顔を上げ、目を閉じた。画面の見過ぎで目が痛い。

 目を開けると物が散乱した六畳一間のワンルームが見えた。

 畳まれていない洗濯物の山、キッチンには使用済み食器、読みかけの本と、読みたくて買ったけど読んでない本のタワー。

 テレビからは誰も見てもいないバラエティーが流れ、出演者の動きにあわせて、だはははは! と誰のものかわからない笑い声がしている。

 風水でこの部屋を見たらきっと最悪に違いない。だから仕事も決まらないのか。



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