LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「お手間をかけさせてしまい、申し訳ございません」

 藍は頭を下げた。

「硬いなあ、もっとリラックスして。お客さんに伝わっちゃうよ」

 笑顔のまま、直哉が言う。

「そもそも俺ら同い年じゃん。ていうか、同学年? この歳で学年とか言うのも変だけど」

「そうなんですね」

「ほら、硬い硬い。瑠璃なんて一つ下だけど、ぜんぜんそんな感じしないでしょ」

 確かに瑠璃は彼らと対等に話をしているように感じる。

「まあ瑠璃ちゃんはすごいからねえ」

 純麗がいう。

「ジュエリーリテイラー1級だっけ。若いのにすごいわねえ。あ、ジュエリーリテイラーってね、簡単に言うと、民間資格でジュエリーを販売するのが上手にできますっていう資格ね」

「すごいですね」

「あいつは努力家だからね」

 直哉が応じる。

 藍は自分を省みる。特になんの資格をとることもなく29歳になってしまった。

「今はとにかく慣れることだね。明日は俺いないからよろしく」

 と直哉は言った。

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