LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「呪いのダイヤで有名な?」

「そうそう。フランス革命でギロチンされたルイ16世だっけ。マリーアントワネットの旦那さん、あの人も持ってたことがあるらしいのよ。あれもカラーダイヤなのよ。青いダイヤってすごくない? ほかにもイエローもグリーンもあるのよ。ブラックダイヤモンドなんて聞いたときは、石炭? って思ったわ」

 と純麗は笑った。

 が、藍は笑う理由がわからない。察した純麗が続ける。

「ダイヤモンドと石炭は元素の並び方が違うだけで同じ炭素なんだって。だから燃えるのよ。面白いわよね、宝石が燃えるなんて」

「えっ。もったいない!」

「やだ、普通は燃やしたりしないわよ」

 ケラケラと純麗が笑う。


 同じ人間でも瑠璃みたいに優秀な人間と自分みたいな何もできない人間もいる。とっさにそんなことを思ってしまった。

「すごい物知りですね」

「実はこれ、全部瑠璃ちゃんに教えてもらったの」

 すごい秘密をうちあけるみたいに声をひそめて言うから、藍は少し笑った。

「ま、おいおい覚えてけばいいわよ」
 と、純麗も笑った。
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