LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
11 未知
「ごっめーん、例の人来たんだって?」
閉店時間を過ぎてから、直哉が店に現れた。もう女性陣は帰ろうとしてたところだった。瑶煌は残業と言って工房にこもっている。
「そうよ、新人さんをふりまわして大変だったんだから」
大変だったのはむしろ中清水さんでは、と思いながら藍は二人のやりとりを見る。
「瑠璃から電話もらってさ、とりあえず来てみたんだけど無事に帰ってくれたみたいだね」
直哉の顔には安堵が浮かんでいた。
「ホストみたいな営業するから勘違いする女性がいるのよ。すごい素敵ですよ、惚れちゃいそうです、とかさ」
帰り支度を終えた瑠璃が直哉に文句をつけた。
「瑠璃さんはホストクラブ行ったことあるんですか?」
疑問に思ったので素直に聞いてみる。
「ないわよ!」
瑠璃は怒ったように返すが、それを見て直哉はクスクス笑った。
「けっこう大物かもね、茅野さん」
言われた意味がわからなくて、藍はきょとんとする。とりあえず瑠璃のご機嫌を損ねたことだけはわかった。
「帰るわ。お疲れ様です」
そう言う瑠璃の視線は藍を通りすぎ、直哉と純麗だけをとらえていた。
お疲れ様、と返す二人に混じって藍も挨拶する。が、瑠璃は藍を見ることなく帰っていった。
「じゃ、俺たちも片付けて帰るか。瑶煌は……今日も残業か」
直哉が工房のほうに目をやる。つられて瑠璃もそちらを見る。が、壁があるだけで工房の中は見えない。
工房の中では何が行われているのだろう、それもまた未知の世界だ。
藍は知らないことの多さにめまいを覚えた。
閉店時間を過ぎてから、直哉が店に現れた。もう女性陣は帰ろうとしてたところだった。瑶煌は残業と言って工房にこもっている。
「そうよ、新人さんをふりまわして大変だったんだから」
大変だったのはむしろ中清水さんでは、と思いながら藍は二人のやりとりを見る。
「瑠璃から電話もらってさ、とりあえず来てみたんだけど無事に帰ってくれたみたいだね」
直哉の顔には安堵が浮かんでいた。
「ホストみたいな営業するから勘違いする女性がいるのよ。すごい素敵ですよ、惚れちゃいそうです、とかさ」
帰り支度を終えた瑠璃が直哉に文句をつけた。
「瑠璃さんはホストクラブ行ったことあるんですか?」
疑問に思ったので素直に聞いてみる。
「ないわよ!」
瑠璃は怒ったように返すが、それを見て直哉はクスクス笑った。
「けっこう大物かもね、茅野さん」
言われた意味がわからなくて、藍はきょとんとする。とりあえず瑠璃のご機嫌を損ねたことだけはわかった。
「帰るわ。お疲れ様です」
そう言う瑠璃の視線は藍を通りすぎ、直哉と純麗だけをとらえていた。
お疲れ様、と返す二人に混じって藍も挨拶する。が、瑠璃は藍を見ることなく帰っていった。
「じゃ、俺たちも片付けて帰るか。瑶煌は……今日も残業か」
直哉が工房のほうに目をやる。つられて瑠璃もそちらを見る。が、壁があるだけで工房の中は見えない。
工房の中では何が行われているのだろう、それもまた未知の世界だ。
藍は知らないことの多さにめまいを覚えた。