LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「……起きたんだ。よく眠れた?」

 瑶煌はあくびして体を起こした。

「は、はい」

 瑶煌はスエット姿だった。乱れた髪に寝不足の顔。窓から()れる光に、(まぶ)しそうに目を細める。

「昨日のこと覚えているか」

「いいえ」

 瑶煌に、藍はとっさに嘘をつく。いや、半分は本当だ。

「酔った君を車で送ろうとしたら寝てしまったから、仕方なくここに連れて来たんだ。変なことは何もしてないから安心して」

「はい」

 信じていいのか。だが、瑶煌が不埒(ふらち)なことをする人間にも見えない。

「今何時?」

 言いながら、瑶煌は壁の時計を見る。つられて藍も見た。10時だ。

「やべっ」

 瑶煌は立ち上がると、足早に寝室に向かい、思い出したように振り返る。

「入って大丈夫?」

「は、はい」

 寝室に入った瑶煌はTシャツにジーンズという姿で再び現れた。

「これから打ち合わせがあるんだ。駅まで送っていくから、申し訳ないけどそこから一人で帰ってもらえる?」

「はい」

 はいといいえしか言ってない気がする、と思いながら藍は返事をした。





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