LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

19 悶える

 駅で車を降ろされた藍は、トボトボと電車に乗った。

 平日の昼間だから、電車はすいている。席に座って、すぐに昨日のことを思い出そうとした。

 車に乗ったところはなんとなく覚えている。それから、それから……。

 車の中で寝たってことは、寝顔を見られたんだ。
 きがついて、急に恥ずかしくなる。

 次いで、ふいに思い出す瑶煌の体温。

 な、なんで今……。

 と思った刹那(せつな)、頭をよぎる不確かな記憶。

 瑶煌に抱きしめられた気がする。

 と同時に、そんなバカな、とも思う。瑶煌が自分を抱きしめる理由がない。

 あれ? あれ? と混乱する。だけど、頭の中には残っている。ゆらゆら揺られて、きがついたら抱きしめられていた。

 そして自分は言ったのだ。

「……吐く」

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