LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「俺が注文してもいいかな? 嫌いなものとかアレルギーはある?」

「特にないです」

「飲み物は――今日は水にしておこうか」

 言われて、藍は顔を伏せる。醜態(しゅうたい)が頭に(よみがえ)る。今日は厄日か。

 まごつく藍に代わり、瑶煌がおすすめコースを注文した。

 コース!

 藍はますます財布が心配になった。

 その様子に気づいたのか、瑶煌が言った。少し笑っている。

「ここは俺が支払うからいいよ」

「い、いえ、私が……」

「入社したててで給料日もまだだし。体で返してくれたらいいよ」

「えっ」

 愕然(がくぜん)と瑶煌を見る。

< 85 / 262 >

この作品をシェア

pagetop