推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 そんな女の子が、ディミトリみたいな人に避けられている人生歩いている人に、ど直球で好意を持って接したのなら……うん。彼の言う通りに、好きになるのかも。

 そっか。私、小説の中のアドラシアンと同じことしたんだ。

 今まで孤独だったディミトリに話しかけて、彼の美点を褒めて誰もしなかったのに認めてあげた。だから、彼も好きになってくれたんだ。

「その流れは……流れはわかるけど、信じられなくて」

「シンシアが、俺の顔を好きだと言ってくれるのは嬉しいよ。だから、俺もいつかシンシアのご両親に認められるように、頑張ろうと思ってて」

「あのっ……! ディミトリは、もう頑張らないで良いです」

「え? どういうことだ?」

 そういう仲になりたい訳ではないと否定されると思ってか、表情を曇らせた彼に私は手を振ってそれを否定した。

「そういうことではなくて……ディミトリは、今も十分過ぎるくらいに頑張ってくれてて……そう。素敵なので、もう頑張らなくて良いです」

「シンシア……」

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