推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 という訳で、ディミトリは私と同じように「素直に褒めたり好意を伝えれば、それで正解」だと思っている。正解だよ? 正解だけど、なかなか自意識が邪魔して、出来ないものなんだけどね。

 初の両想いに浮かれて雲の上を歩いている気分の私だったけど、最近急接近しているらしいアドラシアンについてディミトリに確認した。

 そうすると「シンシアのことを相談していたんだ。どうやったら好きになってもらえるかとか」なんて言った。

 恋の相談しているディミトリ、可愛いし尊い。いや、それはもう置いといて。

 あの女ー……私とディミトリが両想いだって知っていたのに、あんなことしたんだ! やっぱり嫌い。無理。恋敵と書いて、天敵と読む。絶許。

 私の手紙は、実のところディミトリには届いていなかった。気になって手紙を頼んだヒューに聞いたら、私の手紙は男子寮の寮監に預けたと言っていた。

 何でかというと、学年が違う生徒の建屋には立ち入り禁止だからだ。だから、私の入院先にも頻繁に出入りして多忙だったヒューが、ディミトリに手紙を渡そうとして行った対応は何も間違えていない。

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