推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ディミトリも同じように、病院に居る私の手紙は女子寮の寮監に預けたそうだ。

 けれど、なぜかアドラシアンは、私が書いた手紙に、彼が手紙の返事を書いていないという事実を知っていた。

 うーん。事の次第を素直に考えれば、寮監が清く正しい聖女アドラシアンの泣き落としに引っかかったと見るのが、一番ありそうなのかもしれない。

 アドラシアンって、そういえば……自分は作品途中で出てくるイケメンキャラにモテモテで思わせぶりな態度取ったりするのに、ヒーローエルヴィンが可愛い子と話したりすると、すぐに許せないって機嫌を損ねていた気がする。

 けど、懐深くて優しいエルヴィンはアドラシアンを甘やかして、はいはい聞いちゃうんだよね。

 彼女と恋仲になる予定のエルヴィンとは実際に話すとわかるんだけど、あの人は基本的に女の子に物凄く甘い。だから、恋した女の子のわがままも、溢れる愛で何もかも受け止めるんだよね。

 あんなにモテる訳である。

「けど、何だか……おかしいんだよねー……」

「シンシア。どうしたの? うんうん悩んで」

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