推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
21 正体
ヒューから情報をもらって私が調べたところ転校してきたばかりのアドラシアンに、わかりやすくでれでれしていた監督生はすぐに見つかった。
スティーブ・レグナンというガッチリした体付きで、精悍な顔立ちの男子生徒だ。全方位に良い顔をしたい八方美人なアドラシアンに、とろけた顔で話しかけていたところを私はこの目で目撃した。かわいそうだけど、相手にされてない。
私の鋭い女の勘などは、ここでは別に役立てる必要はなかった。
スティーブの態度は見たまま「アドラシアン、君のためになら何でもするよ」と言わんばかりのとろけっぷりだったからだ。
うーん……アドラシアンに恋をして、彼女の言うことを何でも聞いちゃうようになってしまったのかな? というか、こんなことになるのなら完璧ヒーローのエルヴィン・シュレジエン先輩とアドラシアンを出会わせておけば良かった。
あの時のとっさの行動が、全部仇になってしまった。時を戻したい。後悔してももう遅い。
そして、よくわからないアドラシアンの件と、最近もうひとつ増えてしまった悩み。
私の両親が一時は命が危険な状態になってしまった娘に、もし学校で学びたいと言うのなら貴族令嬢がマナーを学ぶフィニッシングスクール、つまり貴族令嬢の仕上げ学校へと転校するように言って来たからだ。
私としてはあんな作法とダンスしか学ばない学校なら行きたくないし、ディミトリが居ないのなら私にとってはもう学校に行く必要なんてない。
なんなら、彼らがディミトリとの仲を認めてくれないと言うのなら、ドミニオリア高等部を卒業したその足で、駆け落ちすることも辞さない覚悟ではある。
スティーブ・レグナンというガッチリした体付きで、精悍な顔立ちの男子生徒だ。全方位に良い顔をしたい八方美人なアドラシアンに、とろけた顔で話しかけていたところを私はこの目で目撃した。かわいそうだけど、相手にされてない。
私の鋭い女の勘などは、ここでは別に役立てる必要はなかった。
スティーブの態度は見たまま「アドラシアン、君のためになら何でもするよ」と言わんばかりのとろけっぷりだったからだ。
うーん……アドラシアンに恋をして、彼女の言うことを何でも聞いちゃうようになってしまったのかな? というか、こんなことになるのなら完璧ヒーローのエルヴィン・シュレジエン先輩とアドラシアンを出会わせておけば良かった。
あの時のとっさの行動が、全部仇になってしまった。時を戻したい。後悔してももう遅い。
そして、よくわからないアドラシアンの件と、最近もうひとつ増えてしまった悩み。
私の両親が一時は命が危険な状態になってしまった娘に、もし学校で学びたいと言うのなら貴族令嬢がマナーを学ぶフィニッシングスクール、つまり貴族令嬢の仕上げ学校へと転校するように言って来たからだ。
私としてはあんな作法とダンスしか学ばない学校なら行きたくないし、ディミトリが居ないのなら私にとってはもう学校に行く必要なんてない。
なんなら、彼らがディミトリとの仲を認めてくれないと言うのなら、ドミニオリア高等部を卒業したその足で、駆け落ちすることも辞さない覚悟ではある。