推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
「うん……シンシアには、敵わないな。今日は大学の教授に呼ばれていたんだけど、このまま希望通りに軍学校に進学するか、自分の推薦を受けて大学に進むか。そう言われたんだ」

「……すごい! 物凄く狭き門でしょう。何を、悩むことがあるの?」

 学術都市ドミニオリアは初撃部から大学院まであるんだけど、実のところ高等部で卒業して就職するケースは多い。なぜかというと、それだけでも十分に高い教育を得られるからだ。

 大学への進学を薦められると言うのは、今までのディミトリの努力を認めてくれていたということでもあった。

 そっか……ディミトリが普通の学生生活を送れていれば、こういった明るい未来があったんだ。やっぱり自分勝手ヒロインアドラシアン……許すまじ。

 今はディミトリは私のことを好きだけど、もし彼女を好きになっていたら、彼は今までの苦労も何もかもぶち壊しになるところだった。

 監督生スティーブとアドラシアンには、これから要注意しておかないと……絶対に、私がこの手でディミトリを幸せにするんだから。

 私が固く手を握りしめて決心しているところに、ディミトリは話しにくそうに言った。

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