推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!

23 部室棟

「いったい! 何するの! ちょっと、止めてよ!!」

 ここまでの展開のもう何もかもが信じられない事態なんだけど、私の長い髪を掴んで引っ張るとスティーブはにやにやとして笑っている。

 自分でこんなことを言うのもなんなんだけど、ラザルス家から連れてきたお付きのメイドに念入りに手入れして貰っている、大事な髪なのに……何とか抵抗しようとしたら、ぶちぶちと強い力に耐えきれなかった髪が千切れる嫌な音がした。

「……いや、確かヒューバート博士が、シンシアのこの髪好きだったなと思い出した。俺を恨んで、あの人が闇堕ちしてくれないと困る。主役二人が旅に出る物語が進まないじゃん」

「……ヒューが? そんなの、言われたことないけど! もう、やめて離してよ!!」

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