推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 火事場の馬鹿力で、お願いだから何か名案を思いついて!! 死ぬかもしれない時だよ!! 今こそ働くべきだと思うの!!

 そして、ふと私は前に割と仲の良い放送部の子が、部室棟の中にも放送設備があるといった話をしていたことを思い出した。

 まるで吸い寄せられるように廊下の向こうに『放送部』と書かれたプレートが見えて、私は放送部の部室へと入り、引き戸をピシャっと閉めると近くにあった棒で扉を止めると何とか即席のバリケートを築いた。

 バンバンと薄い扉を力任せに叩く音が響くけど、もうあいつが何を言ってるかなんて関係ない。

 放送設備っぽいもの、どこ? ……机の上にある拡声器(メガホン)みたいなものしか、ないんだけど!?

 もうこれは、何だかわからないけどやってみるしかない。

 私はボタンらしきものを押すと、スウっと息を大きく吸い込んだ。

「今、私は部室棟でスティーブ・レグナンに殺されようとしていますー!!! 放送部の部室に居ます!! 誰か!! ……ディミトリ!! 助けに来て!!!」

< 130 / 140 >

この作品をシェア

pagetop