推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 二次元の推しが、もし実在しているとしたら……私がそれこそ死ぬほど彼を愛して幸せにしたら良くない?


◇◆◇


「最近……シンシアって災難続きじゃない? お祓いにでも行ってきたら?」

 昨日色々とあった私の話を教室を出てからの帰り道に聞いて、ヒューは嫌な顔をして言った。

 実はこの世界の神様は、神殿に行けば厄除けのお祓いもしてくれるのだ。

 作家が日本人の和製ファンタジー、最高。だって、私が前世に日本人だから、どうしても慣れ親しんだ文化が大事なんだよね。生まれ変わっても、わびさびを感じたい。

「うーん……そうだね。ああ。じゃあ、ヒューも一緒に行く?」

「なんで、僕じゃなくて……リズウィンと、行って来たら良いじゃないか」

 何食わぬ顔をしてヒューはそう言ったけど、押し上げた眼鏡の奥は嬉しそう。

 どうやら、本編を保管するIFストーリーの外伝では私が死んでしまって、彼は私に恋をしていたと気がついてしまったらしい。

 けど、誰だってたった一人しか居ない友人を失えば悲しくなりさみしくなり、そうなってしまうと思う。

 ちなみに私は、男女の友情は成立すると思うタイプ。

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