推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 そんな訳ないと自分の常識は世界の常識と言わんばかりに、声高に言いたい人が居るとは知っているけど……もし、その人が何か意見を言う権利があるとするなら、私にだって同じように自分の考えを主張する権利があると思わない?

 だから、ヒューと私が二人で休みに神殿に行ったって良いと思うんだよね。もちろん、付き合っているディミトリには良いかなって、ちゃんと確認するけど。

「私はヒューと行きたいんだよ。神殿の石像とかの良くわからない伝説とか蘊蓄とか、いっぱい聞きたいなー?」

 読書好きなヒューは、そういう良くわからない知識を満載な頭脳を持っているのだ。一緒に観光したら、下手なガイドさんよりガイドらしいかもしれない。

「うーん……じゃあ、三人で行こうよ。僕も、シンシアの大事なリズウィンと話したいから」

「え? 良いの?」

 私はあまり人付き合いが良いとは言えないヒューの唐突な言葉に、なんだか驚いてしまった。

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