推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 だって、ヒューは私が誰かと話している時には、絶対に近づいて来ないし……神殿と一緒に行くのにディミトリも誘って良いって言ったのは、友達は私だけで良いとまで言った彼が、かなり私に譲歩してくれたとわかるからだ。

「……うん。シンシアが前に、言ってたことがあったよね。あれだけ執心していたのに、たとえリズウィンと付き合えなくても、あいつが幸せでいればそれで良いって。それだけ人を大事に思えて誰かの幸せを願えるって、それだけでも幸せなことだと思うんだよね」

 え。何々!! 現実世界なんてまったく知らないはずのヒューが、私が持つ「推し」の概念に近いことを言い出したんだけど!

「そうだよ!! 本当に存在が尊過ぎて、彼に至るまでの血筋、すべてのご先祖様にも感謝しちゃうくらいに、その人を好きになるんだよ! 居てくれるだけで、世界が綺麗に見えるんだよね。ヒューにもわかってくれたんだね。それが、推してるって言うんだよ」

「押してる? そこは良くわからない。シンシアは……本当に変な子だよね。僕には全く思考回路が理解しがたいし、だからこそ話していて面白いんだよね」

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