推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
「ヒューも、友達いっぱい作ったら良いのに。きっと、自分でない誰かの考えに触れるって、きっと良いことだと思うんだけど……」

「僕は、友人はシンシアだけで良いかな。だって、君の言っていることを、理解するだけでも大変なのに……」

 校舎を出るために長い廊下を歩いている私は、横を歩くヒューの顔を不思議そうに見た。

「そう? けど、誰かのことを、全部理解するなんて無理じゃない? だって、私今この瞬間だって、ヒューと話してて考えが変わったりするから」

 そうなんだよね。今の私は十年後の私と一緒ではないと、それは思う。

 色んな経験をして、私たちは変わっていくのだ。良いようにも悪いようにも。自分の思うとおりに。

「……うーん。なんて例えれば良いのか。そう……つまり、流れる川の水を見て、その規則性に思いを馳せているのが、僕は楽しいんだよ」

「ヒューって変わってるね」

 頭の良い人が考えることは、本当に良くわからない。

「その僕に変わってるって言われるんだから、君も相当変わってるよ」

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