推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ディミトリは育ての親が言い残した通りに、体を鍛えることを日課としている。

 忌まわしい悲劇をどうしても思い出させる種族であるダークエルフの血を持つ彼が、よくわからぬ言い分を持つ誰かに攻撃されてしまわないかを心配していたのだろう。

 争いを好まずに平和を愛するエルフとは正反対の性質を持つダークエルフは、凶悪で血を好む種族だ。

 だけど、本来であれば彼らは、同じひとつの種族だったらしい。

 ダークエルフの祖先となる何人かがエルフ族の中から闇堕ちして、誰かを苦しめ陥れることを喜びとする凶悪な種族になってしまった。

 天使の中の堕天使のような存在と説明されれば、エルフとダークエルフの設定がわかりやすいかもしれない。

 そして、血も涙もない彼らは世界各地で忌まわしい伝説を残しているので、ただダークエルフの血が入っていると言うだけなのに、ディミトリ自身は何もしていないのにひどい迫害を受けてしまっている。

 なんて、不憫で悲劇なの……けど、ディミトリの過去にまつわるこういう不幸設定も私の好み過ぎてしまうので、私は彼を好きになってしまう要素しかない。尊い。

< 21 / 140 >

この作品をシェア

pagetop