推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
05 間に合って
「へー!! ディミトリ・リズウィンと話せたの? 良かったね」
朝、とても眠そうな顔をして登校したヒューに、浮かれていた私が、昨日の放課後ディミトリと話したことを伝えれば、驚いた顔で眼鏡の奥の目を輝かせた。
「そうなの。そうなのよ! すごくない? ヒュー! ……私。彼を前にしたら何も話せなくなってしまうんじゃないかと予想していたんだけど、意外や意外。ペラペラと、必要のないことまでなんでも話せてしまったわ……はああ……素敵だった。やっぱりディミトリは、最高の推しだわ……」
「おし?」
ヒューは完全にディミトリに夢中な私の話を聞いて、不思議そうに首を傾げた。
あ。そうそう。そうだった。この世界に『推し』という概念は存在しない。
多分だけど、結構時期が古めのWeb小説だったし、シリアス展開の硬派っぽい書き味の先生だったから、そういう新しめの言葉は使いたくなかったのかもしれない。
「あ。ごめんごめん。好きな人の言い間違い……なんか、今日は馬術の授業で、湖の方まで遠乗りに行くらしくて……?」
朝、とても眠そうな顔をして登校したヒューに、浮かれていた私が、昨日の放課後ディミトリと話したことを伝えれば、驚いた顔で眼鏡の奥の目を輝かせた。
「そうなの。そうなのよ! すごくない? ヒュー! ……私。彼を前にしたら何も話せなくなってしまうんじゃないかと予想していたんだけど、意外や意外。ペラペラと、必要のないことまでなんでも話せてしまったわ……はああ……素敵だった。やっぱりディミトリは、最高の推しだわ……」
「おし?」
ヒューは完全にディミトリに夢中な私の話を聞いて、不思議そうに首を傾げた。
あ。そうそう。そうだった。この世界に『推し』という概念は存在しない。
多分だけど、結構時期が古めのWeb小説だったし、シリアス展開の硬派っぽい書き味の先生だったから、そういう新しめの言葉は使いたくなかったのかもしれない。
「あ。ごめんごめん。好きな人の言い間違い……なんか、今日は馬術の授業で、湖の方まで遠乗りに行くらしくて……?」