推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!

06 情弱

(あれ?)

 廊下を走っている時に急激に増した胸の痛みを感じた私は、次の瞬間に走っている馬上から見える視界を見ていた。

 この景色はドミニオリアを出て、少し歩いた場所にある広いエレファント草原。春夏は青々とした緑。秋は金色。冬には無数の草も揃って枯れてしまう。

 遠くの方には森が見えて、ディミトリが向かうはずの湖がその先にある。

(えっ? これって、どういうこと? 私……廊下で倒れたのに)

「……お前。なんで、俺の頭で話している? 何か用か?」

 このっ……とても低くて良い声は、アニメ化された時に私の大好きな声優が起用されて、少数派のディミトリファンは手を取り合って喜んだ……あの声。

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