推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
(ごめんなさい。けど、私……ディミトリが心配で)

「うん。謝らなくても良いから。とりあえず、どういうことか落ち着いて説明してくれ。一回の授業で、成績をどうこうされるようなことはない。何があった?」

(あの……)

 私が彼にどうにかして説明しようとした時に、前方から大きな悲鳴が聞こえて来て、ディミトリは慌てて馬を走らせた。

 森の道の入り口に挟むようにして生えている二つの木の間ロープが張り巡らされていて、それに引っ掛かって馬と人が何組か転んだのだ。

 その場へと急ぎやって来たディミトリも、当たり前のように救助に参加した。

 幸い馬や人にも大きな怪我はなかったようだけど、私は今日のこれが彼の顔の傷の原因だったのだと確信した。

「もし、あのまま進んで居たら、この縄に引っ掛かっていたのは俺だったのか……助けてくれて、ありがとう。けど、なんでシンシアが、俺が事故に遭いそうなのを知っていたんだ?」

 先頭を走っていた彼が、一番に転倒し怪我をする可能性が遭った。

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