推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 真顔の私はディミトリの呟きを、力強く肯定した。ディミトリが好き。全部好きなんだけど、顔も好き。

 もう顔だけで好きになった変な女だと、思われていても別に良い。顔も、好きなのは確かだし。

 前世に死んでしまった後で転生先にこの世界に来ることが出来たのも、きっと彼のことが好き過ぎるせいだと思うもの。

「……そ、そうか。倒れたと聞いて心配になった。あの心に呼び掛ける何かは体に負担になるなら、やらない方が良い。俺はそうそうのことでは、死なないから」

 ええ。そうよ。そうなのよ。ダークエルフの血を持つ彼は、とても頑丈で強い魔力を持っている。だからこそ、彼らの祖先は世界中で名を轟かす悪魔のようになってしまった。

 そして、闇堕ちしたディミトリは、主役二人に倒されたと思わせておいて……終盤で実は俺がラスボスでしたびっくりみたいな登場になるのよね。

「あれはっ……えっと、廊下を走って転んだだけで、あれが負担になった訳でなくて!」

「……あ。そうなのか。廊下は走らないようにしろよ。石で出来ているから、滑って危ない」

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