推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ん? 待って。またすんなり、私の言葉を信じたー!! え。嬉しいけどなんか、純真過ぎて思わず心配になっちゃう……悪い人に利用されない? 大丈夫?

 私、ストーリーの関係でもうすぐ死んじゃうんだけど……こんな純粋で可愛い推しを残してなんて、無理。心配過ぎる。

「ねえ。ディミトリ……あ。ごめんなさい。私、いつもの癖で、ずっと呼び捨てだったんだけど……」

「別に構わないが、いつもの癖? どういうことだ?」

 本来敬われるべき年上なんだけど寛大なディミトリは私が許可も取らずに呼び捨てしていたことも、許してくれた。優しい。

「あ。そうなの。いつも心の中で、呼んでたから」

「は? いつも……? あ。そうか……」

 顔を真っ赤にしてしまったディミトリには、何の悪意もない。

 そうよ。ディミトリは幼い頃に親を亡くして結構な辛い目に遭ってるけど、愛を教えてくれた育ての親には恵まれた設定なんだよね。

 けど、それもこれも……ヒロインアドラシアンに、全て台無しにされるんだけど。

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