推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
「え。なんで、好きです」

 ディミトリの前で恥ずかしいという感情を忘れてしまった私は、すかさずこう言って、悲しい過去を持つ推しの存在を全肯定した。

「えっ……たとえば、どこが?」

 私の話を聞いて顔を赤くして戸惑ったようなディミトリ、ここは挿絵に描かれていてもおかしくない。むしろ私がどうにかして出世払いでお金を出すから、神絵師にカラーで全ての場面を描いて欲しい。

 あっ……何言ってるの。そうだった。そんな必要なかった。だって、彼は私の目の前にいるもの。

 闇堕ちしたディミトリの成長した姿を愛でていた身としては、彼の短い学生時代の若い姿を見ていることもご褒美でしかないし……序盤と終盤にしか出てこないと言っても、立ち姿すら何もかもが素敵なのよね。

「……もうっ……いちいち、格好良くてなんかムカつく!!」

「えっ……!」

「何してもいてもどんな顔をしてても、世界で一番格好良いのに、本人は全く自覚ないの……本当に、ムカつくー!!!」

「え……? え? それが、シンシアにムカつかれる理由……? 俺はどうすれば、ムカつかれないの?」

「無理です!」

「えええ!」

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